KDDIとUQモバイル事業統合でau経済圏強化

【au】UQモバイル統合MNOキャリア情報

KDDIの3月期決算会見でKDDIとUQコミュニケーションズは,UQのMVNOサービスである「UQモバイル」の事業を,2020年10月1日付けでKDDIへ統合する。

今回はUQモバイルを統合する事によってどう変わるのか?KDDI代表取締役社長高橋氏の会見内容を見てみよう。

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資料:2020年3月期決算(2019年4月〜2020年3月)

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UQモバイルはどうなるの?

会社自体は会社分割による継承となり,サービス自体はauとは別に,UQモバイルのブランドが引き続き提供される。

20年1月時点でUQモバイルの契約数は200万人を超えている。
UQモバイル

auとUQモバイルが一緒になると何がいいの?

KDDI代表取締役社長の高橋誠氏は,14日の決算会見で3つのメリットを説明している

統合による3つのメリット

①営業体制の強化
全国営業体制

②新たな価値の提供
両ブランドの特色を生かしてニーズにあわせたわかりやすい料金プラン提供

③事業の効率化
重複する業務などグループ経営資源の集約による競争力強化

参考資料:連結子会社との会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ

今までのUQモバイルとauの関係

UQコミュニケーションズは、総務省の規制により、KDDIの資本が33%に制限されているグループ会社で、auのネットワークを利用するMVNOとして「UQモバイルを提供してきた。

UQ モバイルは、もともとはKDDI子会社のKDDIバリューイネイブラーが手掛けていたが、2015年10月、KDDIバリューイネイブラーとUQが合併し、UQコミュニケーションズ株式会社自身のサービスとなる。

今回の経営統合で、KDDIはauブランドUQ mobileの2ブランドで携帯電話サービスを提供する。

さらに傘下のBIGLOBEも、J:COMもMVNOとして携帯電話サービスを提供。

UQコミュニケーションズは10月以降も既存サービスの「WiMAX 2+」を展開する。

経営の意思決定が元のauに戻っただけ?

高橋社長は「これまで別会社として、KDDIとUQがそれぞれ意思を決めてきた。元のさやに戻ったとは捉えておらず、今回の統合で変化はある。

大きく3つのメリットを見込んでいるが、市場は多様化している。ひとつではなく、複数のブランドでサービスを提供することが重要だ」と説明。au経済圏のユーザーの拡大を実現させる狙いと思える。

auは現在auユーザー以外でも使えるオープンサービス化(動画配信サービスなど)を進めており,UQモバイル事業との連携を具体的に進めていくようだ。

気になる月々の料金プランはどうなるの?

残念なことに今回の会見では料金は分からなかったが,「安心して大容量を使っていただけるサービスをauとして勧め、低料金で小容量かつ安定した品質としてUQモバイルというポジション」と説明した。

UQ以外にもKDDI傘下には「BIGLOBE」があり,auひかりのサービスプロバイダがメインだが,こちらも「BIGLOBEモバイル」とMVNOサービスを展開しており,主にオンラインからの加入が主軸のため,BIGLOBEとの関係性にも調整が必要なようだ。

モバイルルーターのWiMAXはどうなるの?

KDDIへ統合された後も、引き続き高速ブロードバンドサービスのWiMAX事業を提供していくと発表。WiMAXとUQ Mobileのセット割である「ウルトラギガMAX」は今後も利用できる。

UQは電波周波数帯(バンド41)を保有

UQ自体はバンド41(2.5GHz帯)を保有してWiMAXブランドは引き続きやっていく。MNOとして、UQはMVNOに向けサービスを提供するという立場がある。全リソースをブロードバンドに集中し、安定した収益が見込める」

電波周波数帯(バンド41)は5Gへ活用

高橋社長は「バンド41は周波数利用効率が非常に高い。5Gへ対応することを進めることで、高速無線ニーズへ対応することができる」と述べている。

しかし,既存のモバイル通信サービスの周波数では、法制度上、まだ5Gの電波を利用できない。

総務省が5月13日に発表した「周波数再編アクションプラン」では、2.5GHz帯の通信システムについて、5Gおよび5G対応の新たな無線高速ブロードバンド(BWA)システムに発展できるよう、2020年夏ごろまでに制度を整備する指針が示されており,期待が寄せられている。
UQ WiMAX【WiMAX2+】

楽天モバイルとの関係は?

楽天モバイルは楽天通信サービスエリア外の場合,auの通信サービスエリアを利用することができる。開始当初楽天モバイルは2GBと発表していたが,5GBへ増量し顧客の獲得を展開している。

2つの悩み

【第4キャリアとして】
競争観点では警戒しなければならない

【ローミング収入として】
2GBから5GBへ増える事により,ローミング収入は増収につながる

参考資:楽天モバイルとの契約約款 料金表 第2 料金額

・スタートキャンペーンとして楽天モバイルは300万人に対し,1年間無料で利用出来るため契約約款から算出すると税別で約75億円の収入が見込める。

リンク:楽天モバイル

全てが想定通り

高橋社長は「楽天モバイルが(商用サービスを)始めてからどのような状況にあるかをというと、おおむね「想定通りの動き」です。急に(エリア外のデータ容量を)5GBにしたからといって、慌てて何らかの対応をしなければならないという状況にはないと思っています。」と落ち着いた姿勢を保っている

楽天モバイルはコンペティター(競争相手)

高橋社長は「楽天モバイルは新しいコンペティター(競争相手)ですので、できるだけシェアを奪われないようにしつつ、楽天モバイルのMVNOサービス利用者に私たち(auやグループMVNO)のサービスに来てもらえるように取り組みます。」としかりと他社ブランドとして捉えているようです。

まとめ

◯ KDDIはUQコミュニケーションズの「UQモバイル」を継承

◯ UQコミュニケーションズはWiMAXのサービス業務を継続

◯ UQモバイルを継承する事で,サービスの向上,わかりやすい料金体制を目指す
・料金重視は「UQモバイル」,他MVNOへ(KDDIグループ関連会社)
・大量データ利用のお客様は「au」へ

◯ 第4キャリアの楽天モバイルはしっかりと競合相手として認識
・スポンサーエリアの関係は「ローミング収入」として収支面で想定通り

【筆者所感】
今回の流れによりUQモバイルはMNOとなり,ソフトバンクとワイモバイルと同様の相関図を思い浮かべていただけたら分かりやすい。

カスタマーサービスについても「au」と「UQモバイル」が内部的に連結する為効率化が図れる一方,序盤は混乱が起きると想定される。

キャンペーン自体も棲み分けされて行く為,ユーザー還元については落ち着きそうだ

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